個別投信⑥
2倍プッシュ 株+金
「Tracers S&P500ゴールドプラス」

Tracers S&P500ゴールドプラス アイキャッチ
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※筆者の趣味で取り上げますが、今回の商品は一般的にリスクが高いと言われる分類です。購入する際は特によく書面等を読んでください。
※今回の記事は2025年4月17日時点で手に入る情報に基づき作成しています。

これまでの記事で米国株市場のS&P500と金を取り上げてきました。
両方良い投資対象なら金額の2倍にレバレッジをあげて両方投資したら良いんじゃない?
の発想の「Tracers S&P500ゴールドプラス」について取り上げていきます(ゴルプラ と呼ばれているようですね)。

筆者の個人的な感覚としては、2資産揃った暴落が来ないことを祈りながら長期保有するのはメンタルにきそうだな と思っています。

要約
・過去20年は金と株の持ち併せでリスク低下
・分散でレバレッジのリスクが100%改善するわけではない
・為替の影響は普通の外国株式くらい

投資対象/地域国内海外国内外
債券
REIT
バランス
その他
投信協会分類を元に筆者作成

本商品は為替ヘッジ無しの1コース設定です。 為替に設計がややこしいので最後に少し触れます。

コース名「Tracers S&P500ゴールドプラス」
運用会社日興アセットマネジメント株式会社
※2025年9月1日から アモーヴァ・アセットマネジメント へ商号変更
ファンド設定日2022年8月31日
投資対象海外資産複合(株式・金)
購入時手数料上限(税込)0.00%
信託報酬(税込)年0.1991%以内(2025/4/17時点)
信託財産留保額(税込)なし
NSIA成長投資枠×
NISAつみたて投資枠×
残高_2025/3/31時点420億円
2025年4月17日時点で公開されている情報を元に筆者が作成

株と金の組み合わせ効果

それぞれの特徴は以前個別商品②個別商品⑤で説明しているので割愛して、さっそく各資産の持ち合わせ効果から見ていきましょう。

以下の図は2004年12月末~2024年12月末20年間で①S&P500だけを持っていた場合、②金だけを持っていた場合、③両方を50%ずつ保有(毎月末50%ずつに調整)した場合を一緒に描いたチャートです。

米国株と金の持ち併せチャート
SPDR® S&P 500® ETF(ティッカー:SPY)とSPDR® ゴールド・シェア(ティッカー:GLD)を用い、2004年末を100として指数化したものを筆者作成
金と米国株の20年間のリスク・リターンチャート
日次データを年率換算(252日換算)。筆者作成

このグラフだけを見てもS&P500と金の併せ持ちをされる方が多いのは理解できますね。
株と金は別々の動きをする というのは前の記事で書いた所ですが、
リスク(価格のブレ)の面で見ても、記載した期間では全て2資産を持ち併せた方が向上しているのが分かります。

リターンは株と金の中間あたりになるので、単純にリターンをリスクで割った運用の効率性も基本的に向上しています。
分かりやすくきれいな分散効果ですね。

米国株と金の持ち合わせ効果を確認したところで、本ファンドの最も大きなレバレッジの特徴について、次の項で書いていきます。

レバレッジ効果

レバレッジ型の投資信託とは、参照指標(TOPIX(東証株価指数)など)の日々の変動率に、一定の倍数を乗じた値動きとの連動を目指す投資信託のことです。

例えば、参照指数が3%上昇すると、レバレッジ2倍なら6%上昇するといった形です。
だからこそ下落する時もよく下落するから注意してねと言われるまでがセットです。

他にもレバレッジファンドが苦手なのは、参照指標が上にも下にも値動きしないボックス相場と言われる環境ですね。

以下は日本取引取引所に記載してあったレバレッジの例ですが、原指標が上昇や下落を相互に繰り返して元の水準に戻ったとしても、レバレッジ型は複利効果によって、原指標と比較してパフォーマンスが逓減する特性が描かれています。足元のトランプ相場等はまさにこの状況にあたります。

出所:日本取引所グループ

https://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/indicators/05.html

ということで、相場が横ばいか下落する環境では普通にインデックスファンドに投資しておけば良かったとのことになります。

今回取り上げた商品は単純に指数の2倍を目指している商品とは異なるので、上記ほど露骨にパフォーマンスが劣後することはないかと思われます
(普通のレバレッジファンドは毎日2倍になることを目指す運用をする中で減価していく一方、本ファンドは毎日ぴったり2倍にするわけでは無いので影響が薄い)。

なおかつ、2資産が変動を打ち消し合うのが得意な資産クラスなので、幾分か下落抑制ができているのは良い点かと思います。ただし、分散していても、毎日レバレッジのリバランスをしなくても、ガッツリ下がると戻すのには厳しいことには変わりがありません。

筆者が投資している日興アセットのファンドで、一時期流行った「グローバル3倍3分法」というファンドがあります。

こちらは3倍のレバレッジをかけ、株60%、REIT40%、債券200%の比率運用を行なっているので、
タイミング悪く2022年頃の歴史的な金利上昇で債券部分が大やられして、2021年につけた高値を上回れていない状況です(比率の高い債券がやられたので仕方が無いですが…)。

また、1番最悪なケースとしては、瞬間最大風速的に金も株も50%下落することがあれば、2倍のレバレッジをかけていると理屈上は価値がなくなるということは常に念頭に置いておきたいですね。

それだけの覚悟がある方だけが、本来分散投資で価格変動が個別株よりもマイルドな投資信託で爆発的なリターンを狙える というのが正しい姿だと思います。
マイナスのことだけ言うのはフェアじゃないので、上手く行った場合のシミュレーションは日興アセット様のホームページをご覧ください。

日興アセットマネジメント株式会社 「Tracers S&P500ゴールドプラス 商品ページ」

https://www.nikkoam.com/sp/tracers/tr-sp500gold

為替の影響

原資産の変動に比べると小さな話ですが、最後に為替の影響だけ触れて終わりますね。
結論だけ先に書くと、為替の影響はレバレッジのかかっていない普通の米国株ファンドに近いです。

本商品設計に触れてませんでしたが、以下のようになっています。

日興アセットマネジメント株式会社 「Tracers S&P500ゴールドプラス」交付目論見書

https://www.nikkoam.com/fund/detail/645066

細かいことは色々ありますが、ざっくり言うと「先物」の部分は為替の影響を受けず、米国株を元にした部分のため、投資した金額分ぐらいが為替の受ける範囲です。

覚えておいていただきたいのは為替の影響も2倍では無い ということですね。

※「リターン」部分も為替の影響を受けるので、円安で売却した方がリターンが出るのは普通のファンドと同様です。

最後に 感想

本商品は夢が持てるくらいのリターンを得られる可能性があります。(2024年は約1.7倍近くになりました)

一方で適正にリスク部分を考えると、積立であろうがなかろうが、全ベットするのもなかなか難しい商品性ではないかと思います。

運用始めたてで金にも投資したければS&P500のインデックスファンドと金のインデックスファンドを自分で買えば実力に見合った運用ができます。難しければ金が組み入れられたファンドもあります。

本商品は投資経験者が、8割くらいは消し飛んでも大丈夫な範囲内で投資をするような商品なのではないかと思います。

とにかく相場から退場しなければならないような運用の仕方はせず、許容できるリスクの範囲で運用を続けていきたいですね。

それでは、また~

※金融の人間の端くれとして、毎度ディスクレーマーは記載しておきます。投資は自己責任です。
本サイトは趣味ベースの記事であることをご了承ください。

【ディスクレーマー】
・本記事の内容は日本内外問わず、いかなる証券についての取得申込の勧誘を意図するものではありません。
・本記事は信用に足る情報を元に作成していますが、記事内に含まれる情報の正確性、確実性を保証するものではありません。本資料に掲載されている情報によって、何らかの損害を被った場合でも、一切著者は責任を負いません。

・本記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容を元に記載しております。投資を行う際は最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

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