【個別投信③】
せかいの王道?
「インベスコ 世界厳選株式オープン (愛称:世界のベスト)」

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※今回の記事は2025年4月5日時点で手に入る情報に基づき作成しています。

絶賛相場激荒れ中ではありますが、買い向かう方もいると思うのであと2回は株式ファンドを続けていきます。
と、いうわけで今回は先進国株式に投資をするアクティブファンドの
「インベスコ 世界厳選株式オープン (愛称:世界のベスト)」を取り上げます。

要約
・先進国の成長×割安約40銘柄に集中投資
・取り崩すタイプの分配とは正しい付き合い方を
・(おまけ)月報記載のベンチマークは再投資か否か?が大事

投資対象/地域国内海外国内外
債券
REIT
バランス
その他
投信協会分類を元に筆者作成

本商品は為替ヘッジ有無と決算頻度が年1回、隔月、毎月で分かれる6コースから成っています。
この記事では運用戦略と、後半で分配の仕方についても触れていきます。

「インベスコ 世界厳選株式オープン (愛称:世界のベスト)」

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コース名<為替ヘッジなし>
毎月決算型
<為替ヘッジあり>
毎月決算型
<為替ヘッジなし>
年1回決算型
<為替ヘッジあり>
年1回決算型
<為替ヘッジなし>
奇数月決算型
<為替ヘッジあり>
年1回決算型
運用会社インベスコ・
アセット・
マネジメント
株式会社
同左同左同左同左同左
ファンド設定日1999年1月7日同左2018年10月5日同左2023年9月22日同左
投資対象内外株式同左同左同左同左同左
購入時手数料上限
(税込)
3.30%同左同左同左同左同左
信託報酬(税込)年1.903%同左同左同左同左同左
信託財産留保額0.30%同左同左同左同左同左
NSIA成長投資枠××
NISAつみたて投資枠××××××
残高_2025/2/28時点18,138億円89億円1,996億円44億円50億円0.6億円

上記表で見ていただいた通り、毎月決算型については1999年設定、年1回決算が2018年、隔月決算が2023年と、
従来のコースの販売が伸びるのに合わせてコースが拡充されてきた歴史があります。

25年以上は運用が継続しているファンドであり、
「グローバル株×アクティブ運用 で国内の残高トップ」の名目でよくプレスリリースを見ます。
(米株×アクティブの記載時点での残高トップは、1本目で紹介したアライアンスバーンスタイン米国成長株)。
引用しやすいのでありがたいですね。

引用 インベスコ・アセット・マネジメント株式会社 プレス・リリース
「インベスコ 世界厳選株式オープン【愛称:世界のベスト】」6ファンド合計で運用資産額2兆円に到達
2017 年 1 月から 8 年(96 ヵ月)連続での純資金流入を記録

https://www.invesco.com/content/dam/invesco/jp/ja/pdf/press-release/2025/Press_Release_GlobalBest_2Trillion-JPY.pdf

インベスコの本社は米国であり、日本人も大好きなNASDAQ100に投資できる米国のETF(上場投資信託)で
一番残高が多いことで有名な運用会社です。
QQQでググれば出てくると思いますが、その1商品だけで日本円換算で30兆円くらいはあったかと。

引用したリリースもそうなのですが、本商品は日本におけるインベスコ社の看板商品なので、
広告宣伝に力を入れてるなというのは紙面、動画、ネット等全方位で感じますね。

横道に逸れてしまいましたが、早速運用スタイルを見ていきましょう。

運用スタイル

目論見書等への記載を簡単に書くと

①競争優位性があり、お金の使い方が健全で成長が期待できる

②連続増配や安定した配当に優位性がある

③あるべき株価より割安(資料見ると、分かりやすくPERについて書いてくれてますね)

の3点に注目して、新興国を除く世界の株式40~50銘柄に投資を行うとのことです。
特に②③はいわゆるバリュー投資と言われるスタイルですね。
そこに①が加わっているので、資料内に明記はされていませんが、

正確にはGARP(ガープ)と言われる運用手法だと理解しています。

「GARP」は(Growth at Reasonable Price)の略で、
「適正な価格で成長株を買おう」という運用スタイルをさし、
グロースとバリューの中間のような、できたらそりゃ苦労しないよ という結構難しいことを言っています。

成長性が高い企業なのに割安に売り込まれている企業を探すことになるので、
今(2025年4月5日現在)は日頃買えないような優良企業を買うチャンスだと思っているのではないでしょうか。

投資対象

実際の投資国の比率を見てみると、2月末時点のポートフォリオの上位3か国では
アメリカ47%、イギリス18%、オランダ6.5であり、深く考えずに有名所の全世界株式インデックスファンドに投資すると60%超が米国になってしまう現状では、米国以外に寄っているポートフォリオと言えます。

組入銘柄トップ1はイギリスのベンチャーキャピタル(未上場株に投資・経営参画して企業価値を上げる業種)である
3iグループで、5.1%の保有ですね。
2022年6月23日運用報告書の時点から組入1位であり、相当確信度が高い銘柄なのだと思われます。

実際にここ3年間ほどで株価は倍以上となっており、本戦略に大きなプラス寄与となっているはずです。

著者はこの3iグループは詳しくないのですが、ざっと直近の負債総資産比率(会社の価値の内、借金の割合)等を見ると6%台と、本当か疑うレベルで低い企業だったので、確かに本運用戦略に沿う企業なのだと思われます。

直近の価格遷移

長期の価格遷移は各運用会社のページを覗いてみていただきたいのですが、
せっかく相場が動いている時なので直近1ヶ月くらいの価格遷移を出してみました。

各運用会社のホームページからデータを取得して筆者が作成
「世界のベスト:インベスコ 世界厳選株式オープン 為替ヘッジなし 年1回決算型 (愛称:世界のベスト) 」
「オールカントリー:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
「S&P500:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

直近1ヶ月だと全世界株式を0.8%上回る形で、何とか面目躍如でしょうか。
正直企業業績など関係なく、政治主導での価格下落だったので差はつかないですね。
ここからの不安定な相場での値持ちに期待です。

毎月分配型は取り崩し前提

さて、ここからは好きな方も多い分配金の話です。
この項目は書いていると業界の方に怒られる気もするので、数日後しれっと消しているかもしれません。

本戦略がなぜここまで残高が膨れ上がったかと聞かれると、「分配金を安定して大量に排出してきたから」に尽きるのかなと。正直、個人的には年間20%前後の分配金はさすがに出しすぎでは?と思ってます。
知っている方も多いのですが、本商品の毎月決算型はたこ足配当(自分の資金が返ってくるだけ)
前提で設計されています。
1つ仮定の計算をしてみましょう。

株式の年間リターンが年間7%、本商品のコストがざっくり年間2%なので、手残りは5%。

分配金は毎月150円×12回で1,800円。足元4月4日の基準価額8,213円なので、1,800円÷8213円≒22%。

5%(リターン)-22%(分配金)=17%程度は毎年自分の運用資金がただ手元に戻ってくる計算です。

ですので、注意喚起としては資金形成中の方向けの商品ではなく、あくまで運用をしながら数年後には大半が現金化される、自分年金的な使い方をしようね
と言うのが一般的な説明です。

もう少しだけ踏み込むと、なぜこんなに配当できるの?ということなのですが、
このあたりは非常にマーケティングが上手いな と思うポイントです。

本戦略の毎月決算型は2016年9月に決算頻度を半年から毎月決算に変更され、
2017年1月から毎月分配を行っています。

運用会社のホームページを見ると過去の基準価額遷移を見ることができるので、
2016年12月30日の基準価額を見ると16,245円。2025年4月4日時点では8,213円なのでちょうど半分ぐらいです。
株価が右肩上がりの一方で、しっかりと基準価額自体は削られています。

1997年から2016年まで貯めてきた分配原資があるからこそ、無尽蔵にも見えるくらいの分配が出されています。
今から新しいファンドを作って同額の分配金を出そうと思っても、原資が無いため、こんなに分配金が出せないんですよね。
いつか運用報告書の読み方の記事も作りたいのですが、正直今の基準価額のうち8割くらいは分配できる設計になっている商品なので、基準価額が下がろうともしばらくこの形は続けるのかなと思いながら見ています。

隔月決算型等は年間3~4%くらいの分配排目指しているのかな?といったレベル感で
運用のリターン+受取のニーズを満たすような設計になっていると思うので、両立を目指すなら個人的には隔月決算型が良いと思いますね。

(おまけ)月報記載のベンチマークは再投資か否か?

どうしても気になっているのでこのファンドで触れます。
まずは下のグラフをご覧ください。

出典:インベスコ・アセット・マネジメント株式会社 
「インベスコ 世界厳選株式オープン (愛称:世界のベスト)」商品ページ

https://www.invesco.com/jp/ja/individual-investor/funds/detail/312901.html

これは月報から引っこ抜いてきたのですが、
ファンドのベンチマーク(本戦略が勝ちたいと指標にしているインデックス)が記載されています。
2023年9月21日以降は配当込み指数に変更されていると書かれていますね。
株を持っていると配当が出ますが、それを受け取るのではなく、再度投資に回すとの意味合いです。

これは業界的に「投資信託の方は分配金再投資のチャートを書いているのだから平等に配当込み指数を使うべきだ」 
との声の一環で変更になったものですね(昔はそもそも配当込み指数がありませんでした)。

そこまでは良いのですが、気になっているのは
「本資料のベンチマークは両指数を指数化し、結合したものを掲載しています。」
の部分です。
他社のファンドだと、過去にも遡及してベンチマークを差し替えている会社が多い印象です。

出典:三菱UFJアセットマネジメント株式会社「三菱UFJ海外株式オープン」商品ページ

https://www.am.mufg.jp/fund/531701.html

上記の商品はインデックスファンドなのですが、長期なほどコストの分、ベンチマークに負けていくある種正しい姿です。

本戦略ではベンチマークを2023年9月までは配当なし、それ以降は配当込みで比較をしているので、仮に配当込指数と本戦略で同じ運用成績が続いたとすると、
2023年9月まではベンチマークに勝っているように見え、10月以降はイーブンになることから、相対的に運用が下手になったように見えるので
全部差し替えたら良いのに と思うポイントです。
(年間2%配当が出るとすると、10年間の配当有無で22%くらいベンチマークの成績が変わるので)

実際は過去のデータとの整合性等、会社毎で変更が難しい等の個別事情はあると思うのですが、
本商品限らず、株式のベンチマークに配当込みと書かれているか否かは、運用成績を比較する際に大きく影響するので、ぜひ注意して月次のレポートを見てみてください。

それでは、また~

※金融の人間の端くれとして、毎度ディスクレーマーは記載しておきます。投資は自己責任です。
本サイトは趣味ベースの記事であることをご了承ください。

【ディスクレーマー】
・本記事の内容は日本内外問わず、いかなる証券についての取得申込の勧誘を意図するものではありません。
・本記事は信用に足る情報を元に作成していますが、記事内に含まれる情報の正確性、確実性を保証するものではありません。本資料に掲載されている情報によって、何らかの損害を被った場合でも、一切著者は責任を負いません。

・本記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容を元に記載しております。投資を行う際は最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

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