「S&P500かオルカンを積み立てたら良いとは言われても、そんなにリスクは取りたくない…。」そんな考え方の方に、一旦運用の成功体験を積んでもらうための設計をなされているのが今日の商品。
この「ぜんぞう」シリーズは、約5年間で15%の基準価額上昇を繰り返し達成してきた、運用初心者向けの商品です。あおぞら投信が3カ月ごとに設定しているこのシリーズは、着実に成功体験を積むための仕組みが盛り込まれています。
本記事では、「ぜんぞう」シリーズがなぜ初心者におすすめできるのか、その人気の秘密を見ていきます。
商品分類
投資対象/地域 | 国内 | 海外 | 国内外 |
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株 | |||
債券 | |||
REIT | |||
バランス | |||
その他 |
コース名 | 「あおぞら・ 新グローバル分散ファンド(限定追加型)(愛称:ぜんぞう)」 |
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運用会社 | あおぞら投信株式会社 |
ファンド設定日 | 「ぜんぞう2504」は2025年4月25日 ※四半期に一度程度シリーズものが組成される |
投資対象 | 内外資産複合 |
購入時手数料上限(税込) | 2.75% |
信託報酬(税込) | 年1.335%程度 (安定的な債券運用時 1.09%程度) |
信託財産留保額(税込) | なし |
NSIA成長投資枠 | × |
NISAつみたて投資枠 | × |
残高_2025/4/30時点 | 32億円 ※2025/5/26時点 シリーズ合計残高3,432億円 |
5年で15%増を達成し続ける 実績で語る初心者向け投信
過去の15%達成シミュレーションの達成率は93%
「ぜんぞう」シリーズの最大の特徴は、その明確な目標設定にあります。世界の経済成長を捉え、約5年の投資期間で、基準価額15%アップを目指すという、初心者にもわかりやすい目標を掲げています 。
単純に年率換算すると約3%程度の成長目線であり、株式投資を継続的に行っている方からすれば、現実的な数字だと感じるかもしれません。
しかし、これまで運用経験がない方にとって、預金金利が0.1%程度だった時代と比較すると、リターンが期待できる商品は「よく分からなくて怖い」と感じてしまいがちです。
そんな不安を払拭するデータがあります。過去の類似データを基にした検証では、2002年1月から2024年12月までの期間で、93%という高い確率で5年15%の目標を達成しています。実際に「ぜんぞう」シリーズは、2025年1月末時点で運用終了済み22本中21本が15%に到達済み。残りの1本も+9.6%程度と、全てがプラスで終了している実績があります。
もちろん、将来を保証するものではありませんが、心強いデータなのではないでしょうか。
過去のインデックスデータを用いたシミュレーション
運用開始月を2002年1月から2024年1月まで1ヶ月ずつずらして計算あおぞら投信「ぜんぞう型シミュレーション図」 https://www.aozora-im.co.jp/feature/zenzou/
株式比率は5%→60%に段階的引き上げ「株式漸増」設計
さらに「ぜんぞう」シリーズは、投資初心者への徹底した配慮がなされています。投資を始めた直後に株価が下落する不安を軽減するため、設定当初1カ月間のグローバル株式組入比率はわずか5%に抑えられています。
その後、毎月5%ずつ段階的に株式が組み入れられ、1年かけて基本となる60%の比率になるよう設計されています。なお、残りの部分は、価格変動の少ないヘッジ付先進国債券に投資することで、守りの部分を固めています(コストを払って為替の影響を排除)。
その上で、前述した15%上昇時点で株式を売却し、価格変動の少ない債券運用に切り替わります。
あおぞら投信 「株式漸増図」 交付目論見書抜粋 https://www.aozora-im.co.jp/feature/zenzou/
このように、時間をかけてゆっくりと株式への投資を増やしていく仕組みは、「株式漸増(ぜんぞう)」という名前の由来にもなっているようです 。
効率性だけを考えれば、投資当初から株式60%を組み入れている方が期待リターンは高まります。
しかし、これまで見てきた多くの初心者の方々は、初めての投資直後に価格下落が起きると、途中で資金を引き揚げたり、投資そのものへの興味を失ってしまうケースが多々ありました。
とにかく投資初心者でも投資を継続できるよう、1年目の価格変動を極力減らし、少しずつ値動きに慣れてもらう設計は、非常に面白いと思っています。
リスクを抑える 「ぜんぞう」に組み込まれた3つの分散
本商品の購入を検討される方が最も気になるのは、やはりリターンよりも「リスク」ではないでしょうか。「ぜんぞう」シリーズは、リスクを抑えるための工夫として、投資の基本である「3つの分散投資」が組み込まれています。
資産の分散:
日本を含む世界の株式と債券に幅広く投資することで、株式市場と債券市場の値動きが異なる場合でも、資産全体の変動リスクを抑える効果が期待できます。
特に株式部分については、世界中の約11,500銘柄(2024年12月末時点)に分散投資されています。
以前このブログでもご紹介した全世界株式のインデックス、いわゆる「オルカン」([オルカン記事へのリンク])が約3,000銘柄弱であることを考えると、その3倍以上に分散投資されていることになります。

地域の分散:
株式の投資先は、先進国だけでなく、成長が期待される新興国にも分散されています(先進国5:新興国1の比率)。これにより、特定の国や地域の経済状況に左右されにくい、バランスの取れた投資が可能になります。
時間の分散:
前述の通り、購入時期を分散するために、株式の組入比率を段階的に引き上げる仕組みを採用しています 。一番安い時を狙って買うといったことはできませんが、この効果により、高値で購入してしまうリスクを減らすことが期待できます。
「ぜんぞう」シリーズは、これらの分散投資を、3つの投資信託証券を組み合わせて実現しています。これにより、より効率的な分散投資が実現されているのです。
運用はノーベル経済学賞理論を実践するDimensional社
「ぜんぞう」シリーズであおぞら投信が投資を行っている3つの投資信託証券の運用を担うのは、世界に拠点を置くディメンショナル・ファンド・アドバイザーズ(以降 Dimensional社)です。
1981年に設立されたDimensional社は、約122兆円(2024年12月末)という巨大な運用資産残高を誇る運用会社です。そして何よりも注目すべきは、その運用戦略が、長年にわたるアカデミックな研究成果に基づいているということです。
Dimensional社は、単に過去のデータを見るだけでなく、金融科学の最先端の研究成果を投資戦略に取り入れています。その証拠に、証券アナリスト資格のテキスト等にも登場するユージン・ファーマ氏(2013年ノーベル経済学賞受賞)をはじめとした、数々のノーベル経済学賞受賞者が、Dimensional社と深く関わっています。
Dimensional社の考え方は個人的に運用スタイルの基本の1つにさせていただいているため、運用戦略の詳細は次回の記事で掘り下げていきますが、最後にホームページから言葉を引用させていただきます。
Dimensionai社 「Dimensionaiの独自性」https://www.dimensional.com/jp-en/dimensional-difference
「科学とリサーチに裏付けされた長期投資戦略を運用のエンジンに取り入れている」ことも、「ぜんぞう」シリーズの隠れた大きなメリットだと私は考えています。
まとめ:最大効率の運用 ≠ 自分にとって最高の運用
「ぜんぞう」シリーズは、複数の分散効果を組み合わせながら、5年間で15%の上昇という目標を達成し続けてきた商品です。「価格が半分になるリスクも許容して、最大効率でお金を増やしたい!」という層とは、設計思想が大きく異なります。
正直、この商品はこのブログで紹介するタイプの商品では無いと思っていました。しかし、深く見ていくと、その設計がとにかく「投資初心者」がつまずきやすい点を徹底的にカバーしていることに気づかされます。
私自身の投資はもっとリターンを狙える株式ファンドが中心ですが、「ぜんぞう」シリーズや、前回紹介した「のむラップ・ファンド」などは、安心して自分の親に勧められる商品設計だと納得しています。

両商品とも、多くの地方銀行や信用金庫など、地域に根付いた販売会社で取り扱われています。販売側も不安なく販売でき、また投資経験のない購入側も安心して推奨や保有ができる商品設計だからこそ、多くの資金を集めているのだと、今では考えています。
もちろん、投資にはリスクも伴います。
投資初心者だと、リスク要因が何なのかも分からないことがあるでしょう。しかし、「ぜんぞう」シリーズは、まさにそういった方が実際に体験しながら資産形成の第一歩を踏み出すための入り口商品となる商品ではないでしょうか。
それでは、また~
※金融の人間の端くれとして、毎度ディスクレーマーは記載しておきます。投資は自己責任です。
本サイトは趣味ベースの記事であることをご了承ください。
また、今回の記事は2025年5月26日時点で手に入る情報に基づき作成しました。
【ディスクレーマー】
・本記事の内容は日本内外問わず、いかなる証券についての取得申込の勧誘を意図するものではありません。
・本記事は信用に足る情報を元に作成していますが、記事内に含まれる情報の正確性、確実性を保証するものではありません。本資料に掲載されている情報によって、何らかの損害を被った場合でも、一切著者は責任を負いません。
・本記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容を元に記載しております。投資を行う際は最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。