個別投信⑤
金は通貨の1つ
「SBI・i シェアーズ・ゴールドファンド(愛称:サクっと純金)」

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※今回の記事は2025年4月13日時点で手に入る情報に基づき作成しています。

皆さんは金と言えば、宝飾品と投資対象、どちらとして捉えてますか?
今回は投資信託を通じて金に投資ができる「SBI・i シェアーズ・ゴールドファンド(愛称:サクっと純金)(為替ヘッジあり)/(為替ヘッジあり)」について取り上げていきます。

要約
・金は一部ポートフォリオに組み込むことで分散効果が期待できる資産
・金は現金と異なり、リスク資産としてのカウントを
・投資信託を通じて、金価格に連動した投資成果を得ることは可能

投資対象/地域国内海外国内外
債券
REIT
バランス
その他
投信協会分類を元に筆者作成

本商品は為替ヘッジの有無で2コース設定です。
「SBI・i シェアーズ・ゴールドファンド(愛称:サクッと純金)

コース名(為替ヘッジなし)/(為替ヘッジあり)
運用会社SBIアセットマネジメント株式会社
ファンド設定日2023年6月8日
投資対象内外その他(商品)
購入時手数料上限(税込)0.00%
信託報酬(税込)年0.1838%(税込)程度程度(2025/4/14時点)
信託財産留保額(税込)なし
NSIA成長投資枠
NISAつみたて投資枠×
残高_2025/3/31時点(為替ヘッジなし)436億円/(為替ヘッジあり)88億円

2025年4月12日時点で公開されている情報を元に筆者が作成

金の特徴

※今回、執筆時点で金に投資を行う公募投資信託において、一番コストが安いであろう本ファンドを取り上げましたが、正直金に投資を行う投資信託であれば、以下の内容は概ね共通します。

投資信託を通じた投資として代表的なものとしては、国内外の株・債券・REIT(不動産投資信託)
の9つの区分けが利用されることが多いですが、

上記で見ていただいた通り、金はその他の分類、厳密にはオルタナティブ(代替)投資と呼ばれる投資の代表的な1つです。
以下では金の投資対象としての特徴をメリット、デメリットに分けて3つずつ記載しました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

【メリット】

1. 株等の伝統的資産と異なる動きをする

株式や債券といった伝統的な資産は、景気の変動や企業の業績に大きく左右されます。
しかし、金はこれらの資産とは異なる値動きをする傾向があります。

例えば、景気が良い時には企業の業績が伸び、株価が上昇することが一般的です。一方、金は基本的には景気動向とは独立した動きをすることが多いです。

金は株式や債券と異なる動きをするため、ポートフォリオに組み込むことで分散効果が期待できます。特に、保有している株式の価値が下がった時に金の価格上昇で、ポートフォリオ全体の損失を抑える効果が期待されています。
いくつか例を見てみましょう。
なお、本記事内においてはデータの取得の容易さから、ステートストリート社が米国でETFとして組成しているSPDR® S&P 500® ETF(ティッカー:SPY)とSPDR® ゴールド・シェア(ティッカー:GLD)を用いて計算しています。

①GLD設定来(2004年11月18日~2025年4月10日・相関係数0.1)
リーマンショックから数年間の間株→金への逃避が起こった点は非常に大きな特徴です。

公開情報を元に筆者作成

②2013年(相関係数-0.05)
リーマンショック以降の相場から大きく転換し、株式市場に安定して資金が流れた時期です。

公開情報を元に筆者作成

②2020年(相関係数0.05)
コロナショックで相場が総崩れする中、金は非常に安定した成績を残しました。

公開情報を元に筆者作成

現状まで続く金の人気は③のコロナ下以降の非常に強い金価格の遷移に支えられているものと思います。
以降、メリットの説明に戻りましょう。

2. 相場が不安定な時の値持ちの強さ

世界経済や金融市場が不安定な状況に陥った時、投資家はより安全な資産へと資金を移す傾向があります。このような状況下で、金は「安全資産」としての役割を果たすと考えられています。

過去の金融危機や地政学的なリスクが高まった局面では、株価が大きく下落する一方で、金の価格が上昇する場面が多く見られました。これは、金そのものが持つ普遍的な価値や、実物資産であるという安心感から、リスクを回避したい投資家の買いが集まるためと考えられます。

3. インフレ相場に強い

金はインフレヘッジの手段として利用されています。

理由として、金は現物資産であり、一般的に物価の上昇に合わせて価格が上昇する傾向があると考えられているからです(昨日まで100円で買えていたリンゴが今日から110円無いと買えない というような話)。

改めての確認になりますが、インフレが進むと生活に必要なものの値段が上がり、実質的な購買力が低下します。そのような状況下では株や金を持つことで資産の価値を守る効果が期待できるのです。

【デメリット】

1. インカム収入が発生しない

株式投資であれば配当金、債券投資であれば利息といったインカム収入を得ることができます。
しかし、金そのものは何も生み出さない資産であるため、インカム収入(利息や配当金)は発生しません。

金投資によって得られるリターンは、基本的に金の価格変動による売買差益のみとなります。そのため、基本的に需要によってのみリターンが変動します。
このデメリットが大きく、業界の方の中にも「金は投資じゃない!」と考えている方もいるようです。

2. 金利が高い局面での相対的な価格の弱さ

一般的に、金利が上昇する局面では、金価格は相対的に弱含む傾向があります。

これは、金利の高い預貯金や債券といった他の投資対象の方が、インカム収入を得られる分、資金がそちらに流れやすくなるためと考えられます。

また、金は保有していても利息を生みませんが、金利の高い金融商品であれば利息収入を得られます。そのため、金利が上昇すると、金を保有するコスト(機会費用)が上がるとも言えます。

出典:「米実質金利は依然として金にとって重要」ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社

https://www.ssga.com/jp/ja/individual/insights/us-real-rates-still-matter-for-gold

上記図は拾い図ですが、米国の実質金利と金価格は逆の方向にすることが多いことで知られています。実質金利が高かった1990年代等は長期で金価格が低迷した時期もありました。

3. 相応に高い価格変動性

安全資産としての側面も持つ金ですが、その価格は常に安定しているわけではありません。短期的には大きく変動する可能性も十分にあります。

世界経済の動向、金融政策、地政学的なリスク、需給バランスなど、様々な要因によって金の価格は日々変動します。
リスクとしては概ね、債券<金(株側に近い)<世界株式 といったイメージなので、安定を求めて盲目的に金のみ買うと、想像していた結果とギャップが生じてくると思います。

金は本当の現金と異なり、リスク資産です。この点だけは必ず覚えておいてください。

投資対象としての金

上記で見ていただいた通り、株等と違う値動きをする+金自身に利息がつかない関係から、基本的に金は投資のメインではなく、株等との持ち合わせ用の資産として捉えられることが多いです。

色々な組み合わせ方がありますが、筆者は株90%程度に対して、10%程度金を組み合わせることで、リスク・リターン効率を向上させることを期待しています。

投資信託はどうやって金に投資をしている?

周囲に意外と知らない方も多かったので、投資信託がどうやって金に投資しているかを書いていきます。以下は本商品の目論見書から抜粋した図です。

出典:本商品の交付目論見書 SBIアセットマネジメント株式会社

https://www.sbiam.co.jp/fund/report/sa_202306080A.html

表現されている通り、最終的には金価格に連動することを目指す投資信託ですが、
金現物の国際的な価格は1日2回、LBMA(ロンドン地金市場協会、London Bullion Market Association)という自主規則団体が決めています。

1トロイオンス(金の数え方の単位)あたり〇米ドル といった価格で算出されるため、日本人が投資する場合は「金価格×ドル円レート」で投資をすることになります。海外株式同様、円高時に買って、円安時に売却する方が利益が大きくなるということですね。

商品によって少しずつ形態は異なるものの、基本的には金を保有し金価格と連動する投資信託証券に投資することで、実質的に金価格に連動した投資効果が得られる設計となっています。
毎日売買する等でなければ詳細は考えず、金価格に連動しているんだ の理解で正直十分とは思います。

今回の記事では主に、資産クラスとしての金のメリットデメリットに主眼を置いて記載しました。運用を始めたばかりでは必須の資産では無いと思いますが、それなりに株式の金額が増えてきたと感じた頃に、ぜひこの資産クラスも覗いてみてください。

それでは、また〜

※金融の人間の端くれとして、毎度ディスクレーマーは記載しておきます。投資は自己責任です。
本サイトは趣味ベースの記事であることをご了承ください。

【ディスクレーマー】
・本記事の内容は日本内外問わず、いかなる証券についての取得申込の勧誘を意図するものではありません。
・本記事は信用に足る情報を元に作成していますが、記事内に含まれる情報の正確性、確実性を保証するものではありません。本資料に掲載されている情報によって、何らかの損害を被った場合でも、一切著者は責任を負いません。

・本記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容を元に記載しております。投資を行う際は最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

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